CMEは犀の角のように。

独学で世界標準の臨床内科学を継続的に学習する方法、をさぐります。

【総説】肝膿瘍治療においてカテーテルドレナージは、経皮穿刺吸引と比べ、治癒率と膿瘍腔縮小が高い。

*文献を翻訳した内容の部分は黒色で記載しています。

*Saitsunoxの考えた内容の部分は青色で記載しています

 

日本においては、肝膿瘍はときどき出会う感染症です。 おそらく細菌性であることの方がかなり多いのではないでしょうか。私の乏しい経験の中では治療手技は穿刺吸引しか見たことがありません。カテーテルドレナージとの違いについて見聞きもしたことがありませんでしたので、学びました。

 

Percutaneous needle aspiration versus catheter drainage in the management of liver abscess a systematic review and meta-analysis.

HPB (Oxford). 2015 Mar;17(3):195-201.

PMID:25209740

 

【目的】

本研究の目的は、肝膿瘍における経皮穿刺吸引(PNA; percutaneous needle aspiration)と経皮カテーテルドレナージ(PCD; percutaneous catheter drainage)との効果を比べることである。

【方法】

電子検索(Cochrane Library, MEDLINE, EMBASE, SCIE)を行い、PNAとPCDとを比較したRCTを同定した。メタアナリシスを行った。

【結果】

計5編、306名の患者を含むRCTが組み込まれた。メタアナリシスで示されたことには、PCD群はPNA群と比べて成功率(RR: 0.81, 95% CI 0.66-0.99; P = 0.04)、臨床的改善(SMD: -0.73, 95% CI 0.36-1.11; P = 0.0001)、膿瘍腔サイズ半減までの日数(SMD: -1.08, 95% CI 0.64-1.53; P < 0.00001)において優れていた。有意差が見られなかったのは入院期間(mean difference: -0.17, 95% CI -2.10 to 1.75; P = 0.86)と手技関連合併症(RR: 0.50, 95% CI 0.10-2.63; P = 0.41)であった。メタアナリシス中のRCTにおけるデータ不足のため、膿瘍腔の完全な治癒・またはほぼ完全な治癒、および死亡率は計算されなかった。

【結論】

PNAとPCDは両者共に肝膿瘍吸引の安全な方法である。しかしながら、PCDはPNAと比べてより効果的である。その理由はより高い成功率、改善までの期間が短い、そして膿瘍腔サイズ半減を支持するからである。しかしながら、成功した患者たちの中で、PNAのアウトカムはPCDのそれと比肩しうるものであった。

 

【まとめと感想】

基本的にPCDの方が成績が良い、という結論のようでした。であればドレーン留置などPCD特有の点に問題のない症例であればPCDの方が推奨される、という解釈でよいでしょうか。自分たちで処置を行うのであれば「じゃあ問題ない場合は基本的にPCDで!」で済むかもしれませんが、私の場合はお願いする側になるでしょう。処置をお願いする際には、お願いの仕方にも表現に配慮(工夫?)が必要かもしれません。